楽天証券はレバレッジ型の投資信託を非常に多く組成しています。
前回は日本株指数(主に日経平均)に対しして3倍の逆相関を目指す楽天日本株トリプルベアを特集しました。
☞ 評判の楽天日本株トリプルベアⅢは大損の可能性がある!?レバレッジ型投資信託の危険性。
今回は逆に順相関つまり日経平均が上昇したら、レバレッジを掛けた分だけ上昇する
レバレッジ型のブル投資信託について分析していきたいと思います。
取り上げるのはレバレッジ投資信託の中でも人気を博している楽天日本株4.3倍ブル・楽天日本株トリプルブルで、
特徴と成績から今後の見通しまで見ていき、投資妙味があるのかという点について紐解いていきたいと思います。
楽天日本株4.3倍ブル・楽天日本株トリプルブルの概要
楽天日本株4.3倍ブル・楽天日本株トリプルブル共にレバレッジ型投資信託の中で人気の高い投資信託で、
以下のように楽天日本株4.3倍ブルについては全体の買い付けランキングでも8位にランクインしています。
両者ともかける倍率はことなりますが、基本的には同じ構造のレバレッジ型の投資信託となります。
ブル相場というのは左の米国NYの雄牛(ブル)の絵の通り、
角が下から上に突き上げているので元来株価がどんどんあがる好況相場
のことを指します。(反対はベア相場です)
レバレッジ型の投資信託の場合は順相関することを意味します。
楽天日本株4.3倍ブル・楽天日本株トリプルブルは、
日経平均が上昇すれば4.3倍掛け、3倍掛けで増加します。
つまり、ある日、日経平均が5%上昇した場合は、楽天日本株4.3倍ブルは21.5%の上昇、トリプルブルは15%の上昇、
反対に日経平均が5%下落した場合は、楽天日本株4.3倍ブルは21.5%の下落、トリプルブルは15%の下落となります。
レバレッジは投資家から集めた投資金を元に日経平均先物を買い建てることによりレバレッジを欠けています。
楽天日本株4.3倍ブルであれば1000万円集めたら、1000万円を証拠金として4300万円分の日経平均先物を買い建てるわけです。
レバレッジ型投資信託の特徴:レバレッジは日々の値動きに対してかけられる
楽天日本株4.3倍ブル・楽天日本株トリプルブルの成績を紐解く前に、
レバレッジ型投資信託の特徴についておさらいしていきたいと思います。
今項で説明する点は以前詳しく記事にしておりますが、理解頂かないと両者の成績が理解できなくなりますので、
お付き合い頂ければと思います。
☞ 人気のレバレッジ投資信託をメリット・デメリットから解剖!大損の可能性があるハイリスク・ハイリターン投資の実態。
レバレッジ型で注意しなければいけないのは、1日の値動きに対してレバレッジが掛けられるということです。
つまり例えば日経平均が2日後に現在の+10%になったとしても、楽天日本株4.3倍ブルは+43%となるわけではないのです。
例として現在わかりやすく日経平均が20,000円、4.3倍ブルが1000円(実際とはことなりますが単純の為)だとします。
0日目:
日経平均 20,000円 4.3倍ブル 1000円
1日目:
日経平均21,000円(+5%)⇒4.3倍ブル+21.5%⇒1215円
2日目:
日経平均22,000円(0日目比+10%ですが、1日目比では4.7%の上昇となります)
4.3倍ブルは+4.7%×4.3倍=+20.21%となり1460円となります。
0日目比では日経平均が10%上昇なので4.3倍ブルは43%上昇し1430円となっているかと思いきや、
実態は一日毎の値動きにレバレッジ掛けた結果1,460円となり46%上昇という結果になるのです。
右肩上がりで上昇していく場合はレバレッジブル型の投資信託はタイトルのレバレッジよりも、
高いリターンを出す傾向にあります。
以下は対象インデックスが5日間に2倍つまり+100%となった場合の、
トリプルブル型の成績ですが100⇒ 587と+487%という驚異的な結果となっています。
一方、対象となるインデックスが下落する場合は下落幅のレバレッジ倍ほどは下落しないという特徴もあります。
以下は同じく対象インデックスが5日間で100⇒80と20%下落しているので、
トリプルブル型は順連動なので▲20%×3倍=▲60%となりそうなものですが、
実際は100⇒49.34%と▲50%の下落に留まっています。
ここまで聞くと、良い時はレバレッジ以上にぐんぐんと値を伸ばし、
悪い時はレバレッジ倍以下の損失で済むのでお得だと考えてしまう方もいらっしゃると思います。
市場停滞期にはインデックスが変化しない場合であってもレバレッジ型の投資信託は価格が下落するという特徴があります。
以下は対象インデックスが10ずつ変化して最終的に6日後に100に戻るという値動きを図示したものです。
①100⇒90⇒100⇒110⇒100⇒90⇒100
②100⇒110⇒100⇒90⇒100⇒110⇒100
いずれにしても下落していますよね、この停滞期の弱さは以下で説明する運用成績でダイレクトに出てきますので、
覚えておいてください。
楽天日本株4.3倍ブル・楽天日本株トリプルブルの運用成績
それでっはお待ちかねの両者の成績を見ていきましょう。
楽天日本株4.3倍ブル・楽天日本株トリプルブルの運用成績を日経平均と比較
ヤフーファイナンスのデータを使い日経平均と比較してみました。
まずは過去3年の値動きです。
ピンク:日経平均
青:楽天日本株4.3倍ブル
緑:楽天日本株トリプルブル
3年間で▲20%におちこんでから現在は+0%という値動きとなっていますが、
楽天日本株4.3倍ブルの下落幅は80%と大幅な下落となっています。
長期投資に全く向いていないということが明らかですね。
先程申し上げた通り3年間で結果的に日経平均が±0であったとしても、
日々の値動きの増幅であるレバレッジ型投資信託は必ずしも上昇するとは限らないのです。
非常に高いリスクを受け入れた結果が、日経平均以下とあっては割に合わないですよね。
また過去1年間の値動きの比較も観ていきましょう。
2020年2月からの大幅な下落の影響で4.3倍ブルは一時70%のマイナスを被っていますね。
前回分析したベア型の楽天日本株トリプルベアでも同じでしたが、レバレッジ型投資信託の宿命ともいえるでしょう。
レバレッジ型投資信託は理論上長期投資には適さない形の投資信託といえます。
投資するのであればピンポイントでの短期投資に限定した方がよいでしょう。
楽天日本株4.3倍ブル・楽天日本株トリプルブルの運用成績をデータで分析
先程は視覚からみていきましたが、データでも紐解いていきましょう。
楽天日本株4.3倍ブルを例にとってみると3年間の平均年率リターンが▲4.53%で標準偏差が69.45となっています。
非常に高い標準偏差(=値動きの荒さ)となっており、
一標準偏差つまり68%の確率で以下の成績でおさまり
▲4.53-69.45( = ▲73.98%) ~ ▲4.53 + 69.45 (=64.92%)
二標準偏差つまり95%の確率で以下の成績におさまることを意味します。
▲4.53-69.45×2( = 全損失) ~ ▲4.53 + 69.45×2 (=134.37%)
という非常にい高いボラティリティとなり、ほぼ資産が0になることも十分視野に入ってくる、
ハイハイリスク・ハイリターン投資であるということが出来ます。
👉 ハイリスクハイリターン投資よりローリスクミドルリターン投資を狙おう
下落耐性に強くしっかり運用リターンがでるヘッジファンドという選択肢
レバレッジ投資信託の最大の欠点は長期投資に向かず資産が大幅下落する可能性が高いことです。
かといって先ほど実際の成績をご覧になってわかった通り、TOPIXのリターンも物足りないものとなっています。
このような方におすすめなのがヘッジファンドという選択肢です。
ヘッジファンドは相場が好調な時も、軟調な時もリターンを狙うことができるファンド形態となっています。
☞ ヘッジファンドと投資信託の違いについて徹底解説
☞ 日本のヘッジファンドのおすすめ投資先ランキング・投資信託とのメリットを比較解説
実際、筆者が投資しているヘッジファンドであるBMキャピタルも幾度の暴落を無傷で乗りきりリターンを出し続けています。
以下で詳しくお伝えしていますので、着実に資産を形成していきたい方はご覧頂ければと思います。
今、株価が割安jになっているので高いリターンを狙う好機といえるでしょう。
安定運用!!評判のBMキャピタル(CAPITAL)の運用成績・利回り・投資手法を紐解く!日本のアクティビスト型バリュー株ヘッジファンドを紐解く。
楽天日本株4.3倍ブル・楽天日本株トリプルブルの今後の見通しとまとめ
楽天日本株4.3倍ブルと楽天日本株トリプルブルはブル型なので、
日経平均がどんどんと上昇していく局面であればレバレッジ以上のリターンを見込めます。
下落すれば大きく凹むのはもちろんのこと、停滞してもレバレッジ投資信託の宿命ともいえる下落を被ることになります。
仮に投資をするのであれば、確度が高く日経平均が上昇する局面に限って有効なのですが、
今後の日経平均はどうなっていくのでしょうか。
今後の日経平均は連動率が高い米国株式市場が米国の景気拡大期が10年目となり息切れ感があるなかで、
米中貿易摩擦などの不透明感などが台頭して、なかなか勢いよく上昇していく地合いとはなっておりません。
一方、下落する要素があるかと言われると特に思い当たるものもなく、
暫く上値が重いものの値持ちするという停滞感がある市場環境が続くのではないかと考えています。
長期投資に向いていないのはいうまでもないですが、現時点でピンポイントで利益を狙って投資をするのは、非常に危険であるということが出来るでしょう。