本日は米国を始めとして世界的に普及しているオルタナティブ投資が、なぜ日本国内での普及が遅れているのかという点について解説していきたいと思います。
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そもそも日銀による金融緩和で超低金利、株安に伴う運用難、
そして将来の年金に対する不安感から考えると現在の日本こそ長期投資により大きな利益を狙うことが出来るオルタナティブ投資が欧米諸国よりも必要なはずなのです。
しかし日本国内でヘッジファンドやPEに投資しているのは一部の生損保などの機関投資家のみとなっています。
では何が日本へのオルタナティブ投資の普及を阻害しているのでしょうか。
理由①:縦割り行政の弊害
まず日本国内でファンドといえば思い浮かぶ投資信託ですが、投資信託は「投資信託及び投資法人に関する法律」という金融庁管轄法の適用を受け、
ファンドの運営主体は投資信託委託業か投資資産運用業と規定され、内閣総理大臣の許可を受ける必要があります。
基本的に投資信託は、もともと証券投資信託といわれていたとおり株式や債券などの有価証券で運用することを目的にしておりコモディていぃの組み入れは原則として認められていません。
一方、投資信託によって禁止されているコモディティへの投資をメインとしているファンドに『商品ファンド』があります。
このファンドは主に貴金属などへの現物取引や商品先物取引で運用が行われておりますが、
これらのファンドは「商品投資にかかわる事業の規制に関する法律」という金融庁、農林水産省、経済産業省の三省の管轄の法律の下にあります。
商品ファンドはこの法律に基づいて商品投資を事業としているものに対し許可制度を用いて規制しているのです。
またオルタナティブ投資の先である不動産を用いて運用しているREITでは「不動産特定共同事業法」という法律が設けられている、この法律に従わなければいけないのです。
このように一言でファンドといっても、投資信託、商品ファンド、不動産ファンドというようにそれぞれが異なる法律に準拠して設立されており、
縦割り行政の弊害から有価証券とコモディティ、不動産といった異なるアセットに対して横断的に投資できるファンドの組成がみとめられていない現状があるのです。
このことが自由な運用を前提に設立されているヘッジファンドにとって大きな障害になっております。
ファンド設立のコストと当局による厳しいチェック
例えば投資信託会社を設立するには日本では株式会社組織であることに加え最低でも5000万円の資本金を用意しなければなりませんn。
運用会社立ち上げのためのハードルは高いと言わざるを得ません。またファンドを運営するに際して、内閣総理大臣の許認可が必要となります。
これに伴いファンド設立後も、さまざまな形で検査が入ることになるのです。
ファンドを設立する段階でも厳しく規制があれ、やっとの思いで立ち上げても運用の段階で更に監視され続けるということになるのです。
投資家保護の観点から多少の不自由を強いられるのは仕方がないにしても、これでは、自由な運用を望むこと自体が無理ということになります。
米国の例を見てもわかるのですが、投資信託のみではなくヘッジファンドを含めて非常に数多くの運用会社が設立されております。
資産運用ビジネスが定着するためには、数多くの運用会社が設立され、
お互いに運用競争で切磋琢磨する必要がありますが、今の日本ではまだその段階に至っていないということになります。
販売面での制約
米国を始めとした海外のヘッジファンドでは私募形式の販売形態をとっています。
一方同じように日本で私募形式でファンドを販売するといなると、50名未満を対象んい販売しなければいけなくなるのです。
これは諸王兼取引法によって「有価証券を50名以上に販売する際には内閣総理大臣に有価証券届出書を提出しなければならない」と定められていることです。
要は50名以上を募集する場合は公募という形でしか販売できないのですが、
この公募というのは所謂投資信託のことで今まで記載してきたような厳しい規制と監査を受けなければいけなくなるのです。
私募であればもろもろの規制から自由になる余地がありますが、49名に販売するということ自体が、
多くの資本を集めることができなくなりダイナミックな運用を行うこと自体が難しくなるのです。
総括
今までみてきたように現在の日本の法制度下においては、ヘッジファンドやPEファンドを自由に設立し、運用することそのものが困難なのです。
勿論、国内においても個人投資家を対象にしたオルタナティブ投資、あるいはヘッジファンド運用のファンド設立は徐々に用意になりつつあります。
しかし
多くの場合投資信託の形をとり、投資信託を経由することによって間接的にヘッジファンド投資を可能にしているにすぎないのです。
現在日本で直接投資することのできるヘッジファンドは国内では殆ど設立されておりません。
現状日本では一部の超富裕層にしかオルタナティブ投資のファンドで運用する可能性はひらけていないという現実が広がっているのです。
幸運にも私の東大の先輩がヘッジファンドとPEファンドを立ち上げて運用を行い海外のタックスヘイブンに登記しているため、税的なメリットをうけつつ私は運用を行うことが出来ております。
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