PEファンドは主に成熟した未公開企業を買収して、
付加価値をつけて企業価値を高めた後で高値で売却して高い利益を得るファンド形態です。
☞ PEファンドとは?仕組み・運用成績・種類・メリットやデメリット等から個人でも投資できるおすすめの投資先を紹介。
今までブラックストーンやKKRといった米国の著名PEファンドについて特集してきました。
☞ 世界有数のPEファンド・ブラックストーン(Black Stone)を紐解く
☞ 投資ファンド・KKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)をわかりやすく紐解く巨大PEファンドの実態とは?
本日はブラックストーンやKKRと並び世界三大PEファンドと言われている、
カーライルグループ(The Carlyle Group)について概要、投資手法、成績について紐解いていきたいと思います。
カーライルグループ(The Carlyle Group)の概要
カーライルグループ(The Carlyle Group)の実態について紹介していきたいと思います。
カーライルグループの成り立ち
カーライルグループはKKRから約10年、ブラックストーンから遅れること2年、
1987年にデイビッド・ルーベンシュタイン、ウィリアム・コンウェイ、
ダニエル・ダニエロ等によって創設されました。三人とも現会長です。
三人の経歴はエリート銀行員、法律家、Harvard Business School出身と所謂エリートの集合体です。
カーライルという名前の由来はニューヨークのセントラルパークの脇にあるカーライルホテルが由来になっています。
因みにブッシュ(父)も同社に投資しており、同社のオーナーの一つにメロン財閥が連なっています。
現在は324ファンドを通じて$210Billion(23兆円)の資産を運用しています。
ブラックスローンの約半分で、KKRの2倍という水準ですね。
現在は北米、欧州、日本をはじめ31拠点をゆうしており、スタッフは1600名に近づく勢いと、
増勢をましています。
投資ポートフォリオ
カーライルはPEファンドが発祥の投資ファンドですが、ブラックストーンやKKRと同様、
オルタナティブ投資全般を手掛けております。
運用資産残高は23兆円ですが、アセット毎の内訳は以下のようになっています。
全体の4割がPEファンドで、2割が不動産投資ファンド、1.5割が不良債券ファンド、
残りが共同投資ファンド等のその他です。
ブラックストーンよりPEファンドの割合が高く、KKRよりも低いという両者の中間のような構成です。
PEファンドについてはバイアウトファンドとグロースファンドとなっています。
しかし、実態はPEファンドの9割型本家本流ともいえるバイアウトファンドで運用されています。
☞ バイアウトファンドとベンチャーキャピタルの違いをわかりやすく解説ーPEファンドの種類毎比較-
直近の運用残高の推移をみると、
2016年末までは各セクターが同じ比率でポートフォリオを構成していましたが、
この2年間でPEファンドの成績が良好であったこともあり、PEファンドの割合が増えてきています。
カーライルグループ(The Carlyle Group)の投資スタイル
カーライルグループが投資を実行する候補となる企業は、
『強力で確固たる経営陣』によって経営され、『はっきり定義できるニッチ、または支配的なマーケットシェア』で、
『予測可能なキャッシュフロー』を有する企業です。
その他にも『リストラ中の企業』『隠された価値を有する企業』『当該業界で深い経験を有する新しい経営陣が導入される予定の企業』も選択的に検討しています。
また同社はほんの一握りの数の業種に焦点を絞り込んでいる為、あらゆる投資家庭で重大な強みを発揮できます。
業界を良く知っている為、多くの買収案件が公知となる前に同社に持ち込まれます。
業界の重要人物のコネクションをもっている為、プロアクティブに案件を遂行できるのです。
カーライルグループ(The Carlyle Group)の運用結果
カーライルグループはブラックストーンやKKRと同様にニューヨーク証券取引所に上場している
上場株式ですねお、カーライルグループの株式企業としての成績と、
カーライルグループが運用しているファンドの成績という両面から分析しないといけません。
カーライルグループの運用成績
まずはわかりやすカーライルグループが運用するファンドの成績から確認していきましょう。
以下は過去12カ月の各セグメント毎の運用結果ですが、最大ポーションのPEファンドが19%のリターンを挙げていることが寄与し、全体として17%のリターンをたたき出しています。
単年度でみてもぶれて良く分からないので、この20年間のリターンを見てみると、
しっかりと米国のS&P500指数を大きくオーバーパフォームしております。
毎年12.8%で運用すると20年後に11.2倍にすることが出来ます。
株式会社カーライルグループとしての成績
では次に株式会社カーライルグループとしての成績を見ていきましょう。
カーライルグループもブラックストーンやKKRと同様、投資ファンドが主要な事業ですから、
手数料収入が収入の殆どを占めます。
以下は直近5年間の手数料収入なのですが、殆ど横ばいとなっています。
結果として以下のように株価はS&P500指数や、ブラックストーンやKKRといった、
ライバルPEファンドに対しても大きくアンダーパフォームとなっています。
<青:S&P500 赤:ブラックストーン 緑:KKR 橙色:カーライルグループ>
<引用:Bloomberg>
運用しているファンドに投資すれば大きな利益を得られていましたが、
カーライルグループという株式会社に投資を行っていれば、
暗澹たる5年間を迎えていたことになります。
カーライルグループ(The Carlyle Group)に投資する方法
それではカーライルグループに投資する手法ですが、
カーライルグループが運用するファンドに投資する方法と、
株式会社カーライルグループに投資する方法が考えられます。
カーライルグループが運用するファンドには個人投資家は投資できない
魅力的なのはカーライルが運用するファンドに投資を行うことですが、
残念ながら機関投資家または超富裕層でない限りはカーライルグループが運用するファンドに、
投資を行うことは出来ません。
参考までに現在の投資家ですが、以下のように年金基金や中東等の政府運用基金(ソブリン・ウェルス・ファンド)
ファンド・オブ・ファンズ形式で運用しているファンド、米大学基金(エンダウメント)、保険会社、
と規模の大きい基金や機関投資家で占められています。
カーライルグループの上場株に投資することは可能だが現在の日本からは難しい
カーライルグループは米国のナスダック市場に上場していますが、
現在日本の証券会社経由で購入することは出来ません。
仮に出来たとしても、あまり企業としてのカーライルの株に魅力は感じませんよね。
カーライルグループ(The Carlyle Group)のまとめとPEファンドに投資する方法
カーライルグループはブラックストーンやKKRと並び世界三大PEファンドの一つで、
資産運用額は23兆円と日本の国家歳入やブラックストーンの半分、KKRの二倍の額となっている。
KKRは5割近くを本家本流のバイアウト型のPEファンドで運用しており、
20年平均で12.8%と15%程度のブラックストーンよりも低いですが、
米国の株式市場平均を大幅に上回っています。
しかしながら、ブラックストーンやKKRと同様にファンドに投資することは出来ないので、
いくら羨ましいと思っても手が届かないという現実が待ち受けています。
しかし、現在日本で新たに個人投資家に向けた新進気鋭のPEファンドが、
日本株ヘッジファンド運用で6年間の実績があるマネージャーによって立ち上げられました。
魅力的なリターンを追求できるPEファンドに興味のある方は以下ご覧頂ければと思います。