ジャフコ(JAFCO)は日本では珍しく上場しているベンチャーキャピタルとして親しまれています。
今回はそもそおもジャフコ(JAFCO)とはどのような会社なのか、
どのような投資を行っているのかを記載したうえで、現在までの成績と今後の見通し、
現在の株価水準について言及していきたいと思います。
JAFCOってどんなベンチャーキャピタル??
ジャフコは1973年に創業した日本のベンチャーキャピタルですが、
東京証券取引所に上場している為我々個人投資家が投資できる数少ないベンチャーキャピタルとなります。
50年近く運用しているということもあり、今まで投資した企業でIPOを行った企業は、
全世界で日本を中心として1001社に上っています。
ジャフコのIPO銘柄をご確認いただくと分かるのですが、近年で有名どころでいうとGunosyや、
Money Forward、Youtubeで有名なUUUMなどもジャフコが投資していた案件となっています。
ジャフコの主要な事業領域はベンチャーキャピタルなのですが、近年にはPEファンドが手掛ける、
成熟企業に投資を行い企業価値を向上させてから売却して利益を得る、バイアウト型の投資も行っております。
☞ バイアウトファンドとベンチャーキャピタルの違いをわかりやすく解説ーPEファンドの種類毎比較-
ジャフコは元々のベンチャーキャピタルに加えて1998年にバイアウト部門を発足させ、
2018年3月までの実績として42社に投資を行い6社のIPOと26社のM&Aを実現させています。
厳密にいうとベンチャーキャピタルもPEファンドの一つの種類なのですが、
PEファンドは7割型がバイアウト型であるのに対して、ジャフコはベンチャーキャピタル型を主とする、
PEファンドと定義することも出来ます。
☞ PEファンドとは?仕組み・運用成績・種類・メリットやデメリット等から個人でも投資できるおすすめの投資先を紹介。
ジャフコ(JAFCO)が投資を行う事業領域と投資する企業のステージ
ジャフコが手掛けるベンチャーキャピタル事業ですが、以下が2014年4月~2018年3月の投資実績です。
やはり圧倒的にITサービスが多いことが分かります。
投資するステージでもスタートアップとアーリーが大半を占めています。
スタートアップ、アーリー、ミドル、レーターについては以下に定義されているので、
参考にしてみて下さい。ジャフコが定めたというより一般的な定義として通用します。
- スタートアップ …………まだ投資対象となる製品・事業の売上がない段階
- アーリー …………………売上は計上しているが、営業キャッシュ・フローが赤字の段階
- ミドル ……………………売上が計上され、営業キャッシュ・フローが黒字化しているが資金繰りは不安定な段階
- レーター …………………売上が計上され、営業キャッシュ・フローも黒字化し、資金繰りも安定した段階
<引用:企業のステージ>
一般的にアーリーとミドルまでがベンチャーキャピタルの事業領域で、
レーターはPEファンドのバイアウト型投資の分類となっていることからも分かる通り、
ミドルまでで95%を占めているジャフコの旗艦事業は依然としてベンチャーキャピタルであると言えます。
ジャフコ(JAFCO)の売上と経常利益と純利益を紐解く
それではジャフコの企業としての成績について見ていきたいと思います。
ジャフコ(JAFCO)の売上
ジャフコの売上は株式売却のGross金額のことを指し示します。
つまり3000億円分A社の株式を取得して8000億円で売却した場合の利益は8000億円が売上計上されます。
またジャフコは27個のファンドを通して投資を行っており、3500億円近くの資金を投下しています。
その為、ファンドから得られる管理報酬や成功報酬も売上としてカウントされます。
売上高は2014年以降減少基調にありますね。
当然売却高だけでなく株を購入した時の原価をみないと利益は測れませんが、
基本的んいベンチャーキャピタルは売却できれば大きな利益を期待できるので、
売上高が小さいということは上場又は売却した件数が少ないことが想定されます。
ジャフコ(JAFCO)の経常利益
それでは本業での儲けを示す経常利益について見ていきましょう。
経常利益は売上高から株式を購入した時の原価や、従業員給与などの諸経費を差し引いて、
その他の損益を差し引きした後の利益をさします。
ジャフコの場合は、その他の損益が非常に小さいので営業利益と大差なく、
経常利益を見ることによって本業でどれだけ稼ぐことが出来るかという収益力を確認できます。
以下はジャフコの経常利益の推移です。
やはり、売上が減少、つまり上場又はM&A等による売却額が小さいことが、そのまま経常利益に影響しています。
実際以下のように上場売却益やM&Aによる売却益は減少傾向にあります。
ジャフコ(JAFCO)の当期純利益
経常利益に一過性の特別損益を加味したものが最終的な当期純利益です。
以下はジャフコの当期純利益の推移です。
2018年3月はジャフコが保有する野村総研の株式を一部売却したことにより、
経常利益に対して当期純利益が一過性利益によって大きく持ち直しています。
しかし、一過性利益は毎期発生するものではない偶発的な事象である為、あてにすることは出来ません。
全体として直近数年はIPO発生件数は激減しているのは懸念される点です。
以下は国内投資先でIPOが実現した件数です。
一点投資倍率が上昇しているのはポジティブな点ではあります。
投資倍率は初期投資額が上場した場合の初値と比べてどれだけ上場したかという数値です。
例えば購入した時の株価が100円で、上場した際の初音が1000円となれば投資倍率は10倍となります。
IPO成功件数の減少を投資倍率で少しカバーしていることが読み取れますね。
ジャフコ(JAFCO)の株価を分析-PERからは割安だが、、
それでは肝心のジャフコに投資妙味があるかどうかを確認していきましょう。
ジャフコ(JAFCO)の株価をTOPIXと比較
以下はジャフコ(JAFCO)の株価の値動きですが、以下がTOPIXとの比較になります。
<赤:TOPIX 青:ジャフコ>
TOPIXが5年間で+40のリターンを出している一方、ジャフコは▲20%と大きく差が開いています。
やはり業績が不調であることで株式が売り込まれていることが見て取れますね。
ジャフコ(JAFCO)のPERとEPS
ジャフコのPERは株価が軟調に推移してることにより7倍台と割安と言われている日経平均12倍よりも、
更に低い数値となっており割安となっています。
以下は1株あたり利益EPSとPERの推移ですが、EPSの下落以上の勢いで株価が下落している為、
割安になっていっていることが分かります。
<引用:ジャフコの決算資料より管理人作成>
直近のEPSの上昇は先ほど申し上げた野村総研の株式売却による一過性利益によるものであり、
本業が不調であることを受けて株式市場は冷静に判断してジャフコ株を買う流れにはなっておりません。
割安ということだけを理由に購入に踏み切るのは軽率である可能性があります。
ジャフコ(JAFCO)のまとめと有力な未公開株投資手法
ジャフコは日本で最も有名なベンチャーキャピタルでバイアウト型の運用も手掛けていますが、
現在でも殆どが本来のベンチャーキャピタル型の運用を行っています。
2014年~2015年まではIPO益やM&Aによる株式売却益を取得できていましたが、
ここ数年は上場した企業の数も少なくなっており収益が右肩下がりとなっています。
昨年度は一過性利益により利益のみは持ち直しましたが、見通しの暗さからジャフコ株は、
株式市場で売り込まれており割安な水準となっています。
しかし、2018年上半期のIPO実績も低いことから見通しの不透明感はぬぐえず、
現時点で投資を行う妙味があるとは言える段階にはありません。
海外のカーライルやKKR、ブラックストーンといった一流のPEファンドはベンチャーへの投資ではなく、
既に利益を挙げている成熟企業を買収しバリューアップをしたあと売却する、
バイアウト型の投資を主軸に添えており年率20%程度の高いリターンを叩きだしています。
☞ 世界有数のPEファンド・ブラックストーン(Black Stone)を紐解く
☞ 投資ファンド・KKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)をわかりやすく紐解く、巨大PEファンドの実態とは
☞ 著名PEファンド・カーライルグループ(The Carlyle Group)の実態に
未公開株に投資を行い安定して市場平均より高いリターンを得たいのであれば、
半ば博打の域をでないベンチャーキャピタルよりもバイアウト型のPEファンドに投資を行う方がよいでしょう。
先程挙げたような米国の著名PEファンドは機関投資家しか受け入れておりませんが、
私が投資を行っているバイアウト型のPEファンドは個人投資家も受け入れておりますので、
話を聞いてみては如何でしょうか。