日本人は元本保証が大好きなので、定期預金や国債への投資、
そして私の周りにも多かったのですが積立型の保険への投資に手を出す方もいらっしゃいます。
本日は最近外資系の保険会社を中心として宣伝・販売されている積立型の元本保証型の、
保険商品について、どのような欠点があるのか、
どうして危険であるといえるのかという点について分かりやすく記載していきたいと思います。
元本保証の積立型保険の商品概要
まずそもそも元本保証の積立型投資信託はどのような商品なのか??
という点ですが、私も保険会社に転職活動を行っていた経験もありますので、
簡単に説明させていただきたいと思います。
商品概要としては月額数万円、または外貨で数百ドル積み立てていき、
30歳の時から積立を開始して60歳時点で積立額の1.2倍となって返ってくるという内容です。
更にこの間、死亡保障や病気になった時の保証を行うというものです。
保険の内容については各種様々なのですが、私としては積立型ではなくて掛捨型保険の方が、
経済合理性が圧倒的にあると断言できますので、その理由を説明していきたいと思います。
元本保証で更に30年後に1.2倍になって保険までついてくる。
一見すると完璧に思える商品ですが、実はかなり欠陥商品で私の周りでも、
金融知識のある外資系銀行員や運用会社勤務の人達は誰も積立型保険には加入していません。
元本保証の積立型保険のデメリット①:決して高利回りではない非常に低い運用利回り
元本保証で更に1.2倍というと割のいい元本保証投資だなと考えられる方もいらっしゃいますが、
冷静に30年間かかるという点を考えていただきたいと思います。
30歳から月5万円ずつ年間60万円を積立たとして、30年間で1800万円の積立額となります。
60歳時点では1.2倍の2160万円になります。
ではこの場合の運用利回りはどうなるかというと、
初年度60万円は運用期間29年間 年率 X%運用 Y1
次年度60万円は運用期間28年間 年率 X%運用 Y2
・
・
・
・
・
29年度60万円は運用期間01年間 年率 X%運用 Y29
30年度60万円は運用期間00年間 Y30
としてY1+Y2+・・・・+Y29+Y30 = 2160万円
となるよう平均年率X%をとくと、約1.2%の平均年率ということになります。
確かにネット銀行での定期預金が0.3%、個人向け国債が0.05%であることを考えると、
幾分かましですが米国債の利回り3%に比べると非常に低い金額になります。
そもそも資産運用による有史以来の平均的な利回りをみると、
トマ・ピケティの『21世紀の資本論』でも見て取れるように、
年率4%~5%の利回り平均的に出すことが出来ることを歴史が証明しています。
例えば同様に年率4%で積立運用を行った場合3365万円となります。
年率5%で積立運用を行った場合3986万円と大きな資産を築くことが出来ます。
仮に同じく元本保証の米国債と米社債で運用して年率3%で運用した場合でも2850万円を築くことが出来ます。
2160万円にしかならない保険と比べると低いとは言え、ましな数値ですよね。
けど、積立保険の場合は保険機能がついてるからお得でしょうという考え方もありますが、
保険で同じ効用を得られるのであれば掛け捨て型の保険で代用することが出来ます。
掛け捨て型は月額4000円つまり年率4.8万円で30年間で144万円で保険を付けることが出来ます。
先程申し上げた月5万円を米債券で運用して2850万円にして、そこから144万円を払っても、
2706万円となり、積立型保険の2160万円よりも高くなりますよね。
利回りが低い元本保証型の米債券で運用して掛け捨て型の保険に入った方がまだ経済合理性があるのです。
元本保証の積立型保険のデメリット②:インフレを始めとして不確実な未来
次に1.2倍となって受け取れるのは30年後です。
30年間に何が起こるかは正直わかりません。今から30年前といえばバブルだったわけですからね。
今後の30年間で最も確度高く訪れるのがインフレです。
インフレとはモノに対してお金の価値が現象する現象です。
現在の政府の借金の度合いから考えて、今後インフレによって実質的な借金を減額するほかの方法はなく、
日銀が目指す緩やかなインフレなのか、急激なインフレなのかはわかりませんが、
確実にインフレが日本国民を襲うのは確実であり、年率1.2%程度の利回りで30年後には、
実質的な資産は減少してしまう可能性が正直高いです。
30年後にインフレが発生してお金の価値が半減していると折角1.2倍に増えていたとしても、
実質的な資産は現在時点で0.6倍に、
お金んお価値が3分の1になったとすると0.4倍になってしまいます。
正直30年間インフレが発生していなかった日本国内にいては感覚が麻痺していますが、
欧米の先進国においては毎年年率2%程度のインフレが発生しており、
1.2%の運用益では寧ろ毎年確実に実質的には資産が減少してしまう結果となっているのです。
元本保証の積立型保険のデメリット③:資金拘束による機会損失
積立型保険の問題点は30年間資金が拘束されることです。
途中で解約をしてしまっては違約金を支払うことになり、
結果的に元本割れする可能性もでてきます。
今後30年間何が突然入用になるかも分かりませんし、
毎月数万円の資金が拘束されるのは不安要素が高いですし、
最初のデメリットでもお伝えした通り、他の運用先で運用を行えば、
年率5%程度から私の投資をしているPEファンドを用いれば10%以上のリターンを見込めることから、
機会損失を被ることになります。
例えば月5万円を積立した場合、10%で運用した場合は9869万円になるので、
1.2%の積み立て保険で運用した場合2160万円との差である7709万円分が機会損失となります。
10%程度の利回りを出す方法について、以下にてまとめていますので参考にしてみて下さい!
☞ 資産分散を行い市場平均をオーバーフォームする投資ポートフォリオを組成する為の考え方
☞ 2000万円をハーバード流に資産運用ポートフォリオを組み安定的に10%の利回りを目指す
☞ 【3000万円資産運用】エンダウメント流ポートフォリオを構築し年率10%以上を安全に狙う
☞ 5000万円をイェール大学流ポートフォリオで資産運用し年率10%を安全に長期的に目指す
☞ 【1億円資産運用】ハーバード大学基金に類似したポートフォリオを組み安全に年率10%を狙う
元本保証型の積み立て保険で運用することの危険性まとめ
元本保証型の積み立て保険は保険機能がついた元本保証で1.2倍程度になってかえってきますが、
年率の運用利回りにすると1.2%程度となってしまうので、
同じ元本保証型投資である米国の債券投資で3%の利回りを確保しつつ、
掛け捨て保険を行ったほうが経済的にも断然合理的であるということが出来ます。
また30年間という期間でインフレが発生し実質的には資産価値が減少する可能性と、
資金が30年間拘束され、その間他の投資を行った場合のリターンを逃す機会損失を考えると、
決して手をだすべきではない投資商品、それが保険の運用であるということが出来る。
年率10%以上のリターンを狙いたい方に向けて、
以下ランキング形式でおすすめの投資先を纏めていますので参考にしてみて下さい!