PEファンド

PEファンド(プライベート・エクイティ・ファンド)のビジネスモデルをわかりやすく解説する!

本日はPEファンドが興隆している米国を例にとり、

どのような理念に基づいてビジネスモデルを構築しているのかという点について説明していきたいと思います。

 

そもそもPEファンドは通常の株式売買とは異なり未公開株に投資を行い収益獲得を狙うファンドなのですが、

もう少し詳しく知りたいという方は以下の記事をご参照下さい。

 

👉 PEファンドとは?投資手法や種類、リターンを徹底解説する!

 

PEファンドの投資のプロセス

まずPEファンドが収益を挙げるまでの過程を列記していきます。

 

①ファンドの組成

PEファンドを組成する会社が投資家から資金を募集して、ファンドを形成します。これは通常の投資信託と同じ仕組みであり変わった要素はありません。

 

②買収(または資本参加)

未公開株への投資なので上場企業への投資とは異なり、直接引き受けが必要となります。

買収時までにファンド側は買収後に経営に入り込み経営陣となる人々とともに事業展開について綿密な計画を練り上げます。

ファンドは通常買収価格の3分の1程度をエクイティに出資し、のころは主として銀行からの借り入れで賄っていきます。

 

③投資期間中における積極的経営参画

ここが最も通常のファンドとは異なる局面です。

PEファンドは投資した会社に対して出資するだけでなく、役員派遣などを通じてその経営に積極的に関与し、それによって企業価値を高める努力をします。

投資をして経営者に任せるのではなく、自身が経営者になるということです。

 

④Exit (出口戦略つまり株式売却)

価値を高めた会社の売却やIPO(株式公開)を行って、投資の回収を行います。Exitの方法について買収する前の段階から常に意識されています。

ここで最初に買った株価と最後に売却した株価の差がPEファンドの収益となるわけです。

 

⑤投資家に対する収益の分配

最後に儲かった分を出資額に応じて投資家に還元しますが、この分配の仕方が非常に特殊なので追って詳述します。

 

一番重要なプロセス

一番重要なのは言うまでもなくPEファンドをPEファンドたらしめている③投資期間中における積極的経営参画です。

投資先企業の値上がりを座して待つのではなく、自分の努力で上昇させるというやり方なのです。

 

その一環としてPEファンドは「人も出す」という方針が一般的で投資担当者が投資先企業の役員となることは一般的なのです。

この派遣された役員は投資した企業の発展と成長に心血を注ぎ、常に投資先の企業の価値向上を考えることになるのです。

また場合によっては役員だけではなく、ファンド側が実務担当者まで派遣することもあるのです。

 

PEファンドのビジネスモデル

上記を踏まえてPEファンドのビジネスモデルについて詳しく見ていきたいと思います。

 

積極的な経営参画

先ほどと被りますが、PEファンドはあうてぃぶインベスターです。「金もだすし、口も、人も、手もだす」株節です。

資金面での関与よりは、むしろ経営面での関与のほうがずっと重要になってきます。

 

そのため、PEファンドは金融業務というより事業経営そのものといった色彩が強いのです。

経営参画の中で最も重要なのは経営陣の選定で、買収してから経営陣を探すのではんあく、買収実行段階までに経営陣の選定も経営計画の策定も完了させておきます。

 

株主資本主義

日本ではあまり浸透しておりませんが、「会社は株主のものである」という原則が根付いています。

企業経営の唯一の目的はShareholder Valueの向上であり、経営者とはその目的のために雇われ、目的の達成度に応じて報酬を受け取るものという考えです。

 

米国では株主資本主義が公開・非公開問わず全ての企業活動の根本とされ、PEファンドもその例外ではありません。

株主資本主義では従業員のために会社があるのではないということになるので、日本のように会社売却の際に雇用の確保が重要視されることもないのです。

 

取引の透明性

米国では粉飾や隠ぺいなどを行えないように、システマティックな会計制度や金融慣行があ定着しており決算数値の信頼性は高くなっています。

これはPEファンドについても同様で、買収価格や投資条件を合理的に決定するために必要な取引の透明性が確保されています。

日本のように「何か隠されていそうだが、よくわからないので、ひとつここはあの社長に任せておこう」といったことは米国ではまず考えられないのです。

 

プロフェッショナル・エキスパートによる運営

投資資金をプロジェクトに投ずるためには、しかるべき経験とノウハウを有するエキスパートが不可欠である。

PEファンんどは誰にでもできる仕事ではなく、米国のPEファンドではこうしたプロが幅広く存在し投資家のニーズにこたえている。

 

PEファンドの問題は資金ではなく、人材なのである。

現に現在の低金利家であれば資金を集めることは容易なのであるが、PEファンドを運用できる人材は現在の日本にはまだ少ないと言わざるを得ない。

 

ノウハウに対する成功報酬/収益分配に関する工夫

米国ではプライベート・エクイティだけでなく、

不動産投資や資源開発投資などのさまざまな分野において「ノウハウと実務を提供するビジネスのプロ」と「資金だけを提供する投資か」との組み合わせによるビジネスが行われている。

 

最も代表的なのはリミテッド・パートナーシップの形態で「資金は出さないが、ノウハウ・実務を提供するプロ」と「資金は出すが、

ノウハウ・実務は提供しない投資か」との間で、収益をフェアな形で分配するための仕組みとなっている。

以下収益配分の例をご覧頂きたい。GPというのはGeneral Partnerの略で実務担当のプロ、LPというのは資金を提供する投資家をさします。

 

PEファンドの収益配分の例

 

例えば1億円投資して2年後に1.5億円で売却したとします。すると各階層毎に以下のように収益が分配されます。

 

①LPに元本1億円を返済
②LPに1億円の9%複利二年間分1881万円が分配
③GPに1881万円×20%=376万円が分配
④LPに③の4分の1の94万円が分配
⑤GPに残った収益2649万円の20%である530万円
④LPに残った収益2119万円が分配

 

結果的にLPの利益は②、④、⑥の合計で4,094万円、GPの合計は③と⑤の合計906万円となります。

確りと収益を挙げることが出来たのであれば、その分だけGPに収益が落ちる形になっているのです。

 

一方GPはバリューアップが出来ないのであれば、収益を獲得することが出来ないという非常にフェアな形の報酬形態であるといえるでしょう。

上記はあくまで一例ですが、このようにGPとLPを分けて収益分配を行っているのです。

 

総括

PEファンドは何より経営に積極参加して能動的に株式価値を高めるという点が特徴的なビジネスモデルである。

ファンドに出資する投資家(LP)と企業価値を上昇させるプロ(GP)の役割が明確に分かれており、

バリューアップを行った際には確りとGPに報酬が落ちる仕組みとなっておりインセンティブが付与されLP、GPともにWin-Winの関係が構築されている。

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